李漢方内科・外科クリニック李漢方内科・外科クリニック

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院長紹介

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院長ごあいさつ

多くの方々の協力で念願のクリニック開院ができましたこと、こころから感謝いたします。
当院は、中国伝統医学の叡智に日本の最新の漢方研究成果を取り入れ、効果第一を目標として追求し続けます。

院長 李 向軍

院長プロフィール

役職・資格

  • 世界中医連合会呼吸器病専門委員会 副会長(中里 道新(李 向軍))
  • 日本内科学会内科認定医

略歴

平成8年
中国吉林省延辺大学医学部卒業
 
中国吉林省吉林市立病院勤務
平成17年
日本国医師予備試験合格、
 
神戸大學医学部5年生に特別編入、実地修練
平成18年
日本国医師国家試験合格
 
神戸大学病院研修医
 
神戸大学病院糖尿病内科に入局
平成20年
兵庫県立尼崎病院東洋医学科勤務
平成21年
兵庫県立尼崎病院東洋医学科、糖尿病内科勤務
平成22年
新須磨病院糖尿病内科外来勤務
平成23年
中国中日友好病院などで中医の研修
平成25年
西宮北口にて李漢方内科・外科クリニック開院
平成26年
中国上海复旦大学付属腫瘍病院中西結合科、
上海中医薬大学付属龍華病院短期研修

参加する学会など

  • 世界中医連合会
  • 日中医学協会
  • 日本東洋医学学会
  • 日本糖尿病学会
  • 日本内科学会

研修歴

国医大師(日本でいう人間国宝)に師事し、勉強しました。

国医大師熊継柏先生
熊継柏先生得意分野:がん、不妊症、婦人科疾患、各種難病など
国医大師晁恩祥先生
晁恩祥先生得意分野:肺がん、喘息、間質性肺炎、COPDなど
国医大師許潤三先生
許潤三先生得意分野:婦人科がん、不妊症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、婦人科疾患全般

講演会

北京中医薬大学講演

  • 北京中医薬大学校長 徐 安龍先生と

  • がん、不妊症、難治性皮膚病などの中医(漢方)治療を講演しました

発表

  1. 漢方薬治療が奏功した重複癌両肺転移一例(肉腫、大腸癌)
    第69回日本東洋医学会学術総会(2018年)
  2. 西洋医学的に治療困難のがん患者・終末期患者に対する煎じ薬の役割(肺腺癌、胆嚢癌、悪性リンパ腫)
    第71回日本東洋医学会学術総会(2021年)
  3. 西洋医学的治療に難渋する膵癌肝転移と乳癌肺転移において、中医学の弁証・弁病を基にした煎じ薬が奏功した2例
    第72回日本東洋医学会学術総会(2022年)
  4. 膵癌とIgG4関連硬化性胆管炎の鑑別に難渋した症例ににおいて、中医学の弁証・弁病を基にした煎じ薬が奏功した1例
    第73回日本東洋医学会学術総会(2023) 詳しくは>>

著書紹介

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中医臨床中医臨床

中医臨床 通巻183号(Vol.46 No.4)

「中医臨床」の特集に当院の進行胃がんと再発卵巣がんに対する漢方治療が掲載されました。

進行胃がんおよび再発卵巣がんに対する漢方治療の有用性に関する2症例

がんに対する標準治療は進歩しているものの、進行がんや再発がんでは治療継続が困難となる症例も多い。漢方は、患者の体質や症状に応じて全身状態を整え、副作用軽減やQOL向上に寄与する可能性があるが、その有効性に関する報告はまだ十分ではない。本稿では、StageⅣb胃がんおよび再発卵巣がんに対し、漢方治療が臨床的改善に寄与した2症例を報告する。

※項目をクリックすると詳細が開きます

症例1:胃がん術後・腹膜転移(StageⅣb)
55歳 男性

X年10月、心窩部痛を主訴に近医を受診。胃カメラ、および細胞診にて胃腺がんと診断され、某大学病院へ紹介された。CT、PET-CT、腹腔鏡検査などの結果、胃がん・腹膜転移を認め、胃がんStageⅣbと診断された。抗がん剤オキサリプラチン+TS-1(内服)で治療を開始。漢方薬の併用を希望されたため、当院を受診。

身体所見
身長175cm 体重60kg
現症:
倦怠感、冷え、立ちくらみ、口喝、咽頭乾燥、雨天時やその前日に体調悪化、憂うつ感、不安、食欲低下。
睡眠:
中途覚醒。
便通:
黒色軟便、時に下痢。
望診:
顔色黒く、やつれた印象。
聞診:
声がやや無力。
舌診:
胖大(++)、白膩苔(++)、舌両側やや赤、舌下静脈怒張なし。
脈診:
左:滑、関脈著明
右:関大・無力、寸脈・尺脈は沈無力。
腹診:
腹力3、心窩部に圧痛。
血液検査:
Hb:9.6g/dL、CEA・CA19-9は正常範囲。
弁証:
脾腎陽虚・肝火
治方・処方:
疎肝健脾を目的として、エキス剤(ツムラ六君子湯・抑肝散)、および煎薬を処方した。
煎薬:
柴胡15g、芍薬6g、半夏10g、茯苓10g、白朮10g、人参6g、黄耆30g、霊芝10g、烏賊骨3g、仙鶴草10g、旱蓮草6g、金銀花10g、延胡索8g、沢瀉10g、補骨脂10g、枸杞子10g、生姜5g、大棗15g 朝・昼・夕 各食間(100ml~150mL程度/回)

煎薬は小柴胡湯をベースに加減。また「胃反嘔吐者、大半夏湯主之」に基づき半夏・人参を増量した。西洋薬の抗がん剤により肝機能障害が生じやすく、黄芩は日本人で肝機能障害の報告が一定数あるため、念のため処方に加えなかった。
黒色便および胃カメラ、血液検査から胃がんの出血が確認され、止血剤を内服したが、改善が乏しかったため、烏賊骨・仙鶴草・旱蓮草を加えて止血・健脾・補陰・免疫強化を図ったところ、黒色便が消失した。

治療経過
X+1年3月:
抗がん剤の副作用によるしびれ増悪のためオキサリプチンを中止し、ニボルマブ+TS-1で治療を継続。睡眠障害と脈状より肝火・肝腎陰虚の悪化を考え、抑肝散から加味逍遙散へ変更。眠前に酸棗仁湯を追加し、睡眠は改善した。
X+1年6月:
全身の痒みと湿疹、著明な肝機能障害のため入院。漢方薬は一時中止。
退院後、抗がん剤はTS-1のみで継続。CTで原発巣の縮小が認められたため、胃全摘術を施行。
X+1年8月:
術後、TS-1を継続したが、CTおよびPET‐CTで腹膜転移が不変、抗がん剤をドセタキセルへ変更したが、高熱のため中止。以後、漢方のみで治療を継続。
この時点での身体所見
症状:
疲れやすい、強いかゆみ、イライラ
検査:
総ビリルビン 2.4㎎/dL γ-GTP 125U/L
舌診:
やや黄膩、舌質赤 胖大(+)
脈診:
左:滑・関著明、右:全体沈
弁証:
脾腎陽虚、肝火、湿熱
処方:
ツムラ六君子湯7.5g/3+コタロー竜胆瀉肝湯9g/3
煎薬:
茵蔯15g、金銭草10g、虎杖10g、柴胡10g、半夏30g、人参10g、黄耆30g、茯苓10g、白朮10g、蒼朮10g、芍薬8g、陳皮 6g、五味子3g、沢瀉10g、防風5g、延胡索8g、枸杞子10g、山慈姑9g、半枝蓮15g、竜癸15g、木香8g、大棗15g 朝・昼・夕 各食間(100ml~150mL程度/回)
X+1年10月:
左滑脈が緩やかとなり、かゆみも改善。肝機能が正常化したため、茵蔯・金銭草を除き、竜胆瀉肝湯をツムラ抑肝散へ変更。体力回復を認め、抗がん作用増強のため、天南星6g・呉茱萸6gを追加。
X+2年1月:
CT・PET-CTで他部位への転移を認めず、腹膜転移巣の消失を確認。血液検査も異常がなく、体力は発症前と同程度まで回復。

仕事にも復帰した。主治医によると「このような症例を診たことない」とのことであった。その後も体調に応じて、煎薬を微調整。
現在、半年ごとの定期検査で再発は認めず(すでに一年半経過)。

考察

StageⅣの胃がんの平均余命は約8か月とされ、予後不良である(九州大学病院デーダ)1)
本症例では、初期治療として抗がん剤が投与され、原発巣の縮小を確認したて後に胃全摘術が施行された。術前・術後に抗がん剤治療を継続しつつ、副作用軽減と症状緩和を目的に漢方薬を処方した。しかし、患者本人が抗がん剤による副作用を強く訴えたため、抗がん剤を中止せざるを得ない状況が度々生じ、その後は漢方薬のみで治療を継続する時期もあった。
本症例では、抗がん剤による体質・症状の変化に対し、弁証・弁病に基づいて適宜漢方処方を調整した。特に脈診と自覚症状の変化が敏感に反応したため、それらを重視して処方を変更した(舌診、腹診も参考にした)。

結語

本症例は、西洋医学的治療で難渋するがん患者や終末期がん患者に対し、漢方薬が有用な選択肢となり得ることを示唆するものである。

症例2:卵巣がん(再発)
52歳女性

X年3月、腹部膨満を自覚し近医婦人科を受診。卵巣がんが疑われ、総合病院に紹介された。精査の結果、卵巣がんと診断され、子宮・両側付属器切除および骨盤リンパ節廓清が施行された。術後の確定診断は卵巣がんⅠb(明細胞腺がん)。再発の可能性は高くないものの、術後化学療法を勧められたが、本人に抗がん剤への強い抵抗感があり施行されなかった。
その後の2年間、定期検査では異常を認めなかったが、X+2年4月にCA125の上昇(86U/mL)を認めたため、総合病院で精査を行い、卵巣がんの再発と診断された。抗がん剤の治療を勧められたが、本人はこれを拒否し、漢方による治療を希望して当院を受診した。

身体所見
身長150cm 体重53kg
現症:
倦怠感、雨天・曇天前日の体調不良、憂うつ感、不安、こむら返り、多汗、ほてり、のぼせ。
食欲:
普通
睡眠:
中途覚醒
尿:
正常、夜間尿1~2回
便通:
下痢気味(地黄を含む漢方で腹痛・下痢になりやすい。)
望診:
小太り、まぶたに黒くクマ
舌診:
胖大(+)、暗(+)、白滑苔、舌下静脈怒張(+++)
脈診:
左:関・尺 滑大・有力
右:関・尺 沈、寸脈細滑、全体沈・無力
腹診:
腹力3/5 軽度膨隆、圧痛なし
弁証:
痰湿・血瘀・肝鬱・肝腎陰虚
処方:
柴胡四物汤加減(『素問病機気宜保命集』)
煎薬:
柴胡6g、当帰6g、赤芍6g、川芎4g、半夏10g、人参6g、黄耆30g、茯苓10g、白朮10g、牡丹皮8g、䗪虫3g、女貞子10g、旱蓮草6g、陳皮6g、甘草3g、枸杞子10g、木香6g、大棗10g、半枝蓮10g、白英10g 朝・昼・夕 各食間(100ml~150mL程度/回)
X+2年5月:
気分が落ち着き、倦怠感が改善。依然として睡眠が浅かったため、酸棗仁3g・麦門冬6gを追加し、旱蓮草6g→10gに増量したところ熟睡できるようになった。
X+2年8月:
ほてり・のぼせが消失。脈診では左関尺の滑大脈が緩やかとなり、右関尺脈も前回より力が戻り、寸の細滑脈は消失。舌診でも瘀血の改善を認めた。この時点で呉茱萸6gを加え、腹部の温陽と抗癌作用の増強を図った。
X+2年10月:
総合病院の定期検査でCA125が10.6U/mLと正常化。CT検査で転移巣を認めなかった。

その後、体調変化に応じて漢方を調整しながら治療を継続し、すでに5年経過しているが、CA125は正常範囲を維持し、画像診断でも転移を認めていない。

考察

卵巣がんは死亡率約70%と、婦人科悪性腫瘍の中で最も予後不良の疾患である2)。早期卵巣がん(明細胞腺がん)で手術後に再発がなければ比較的予後は良いものの、再発例では、抗がん剤に抵抗性を示すケースが多く3)、必ずしも良好な経過を期待できないのが現状である。
中医学では、卵巣がんの発生機序として「臓腑虚弱・陽気が衰弱から寒湿が侵入し、肝鬱気滞が加わり、さらに進行すると痰湿・瘀血が形成され『癥瘕』となる」と考えられている4)
本症例では、痰湿・血瘀の証を認める一方、更年期症状を伴っており、寒熱錯雑の状態であったため、治療が難しい症例であった。温経湯および柴胡四物汤の方意を参考にしつつも、初期段階で温剤の使用は避けた。特に更年期症状を持つ患者では、清熱・滋陰薬にわずかなシナモン類を加えただけでも耐えられないケースもあるため、慎重を期し桂枝は使用しなかった。また、患者が地黄による腹痛・下痢を訴える体質であったため、清熱・滋陰には、胃腸への負担が少ない女貞子・旱蓮草を用いた。
睡眠改善のために酸棗仁に加えて麦門冬を配合した。これは温経湯の方意にある「肺は腎の母であり、虚すればその母を補う」に基づく。䗪虫は抗癌作用に加え、通絡活血の働きがあるため用い、白英はがん治療でしばしば使用される生薬であり、自分の師も肺がんや卵巣がんに対して好んで使用していたことから、半枝蓮と併用した。更年期の症状が改善した段階、呉茱萸を追加し、腹部の痰湿のさらなる改善を図った。

結語

本症例は、術後卵巣がんの再発に対する漢方治療が、再発の予防に寄与する可能性を示唆する結果となった。

2症例は、いずれも西洋医学的治療のみでは対応が難しい状況にあったが、漢方治療により症状のQOLの向上とがん進行の抑制が得られた。これらの結を踏まえ、漢方が進行がんや再発がんにおける補完的治療として有用である可能性を示唆する。さらに症例の蓄積と検討が望まれる。

参考文献

  1. 九州大学病院ホームページ(がんセンター 院内がん登録情報
  2. 臨床婦人科産科 64巻6号
  3. 卵巣明細胞腺癌1期に対する術後化学療法はさらなる検討が必要[婦人科腫瘍学会2012]
  4. 中医臨床婦科学 夏桂成

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